8/3（土）に無料上映＆トークイベント「ナカメキノ」vol.7『横道世之介』～BD&DVD発売記念上映～を開催しました。月に1度開催する無料上映＆トークイベントなので、油断したらすぐに目の前までやってくるプロジェクトで、つい先日、vol.6が終わったなあと思ったら、もうvol.7だったわけです。本当に時間の経過が速い。

今回は、3月の『サニー 永遠の仲間たち』以来の野外上映を目黒川舟入場にて実施しました。前回の野外は、3月末だったにもかかわらず、かなり気温が低くて凍えながら映画を観るという特殊な状況でしたが、今回の上映は天候に恵まれて、夕方には暑からず寒からず、時折心地よい風が吹くという環境下で、無事に上映する事が出来ました。昼間からイベント自体はやっていたわけですが、真昼は灼熱でした。ただ、それに負けない熱量をもった飲食出店や松崎まことさん、松崎健夫さんの特別講義など、とても有意義な展開になりました。そして万全の状態の野外上映は、本当に絶品としか言いようのない、記憶に残るものであることを改めて感じました。

第7回として、映画『横道世之介』を上映させていただいたんだけど、この作品は、観たあとに慎重な僕が思わず「これは今年の邦画ナンバーワンなんじゃないか？！」とツイートしてしまうほど魅力的な映画で、いつか「ナカメキノ」で上映したいなあなんて思っていたのでした。それが偶然にも先方より一緒にやりませんかというオファーがあり、この度の開催が実現したわけです。とても幸福な関係性だったと思います。関係者の皆様、ありがとうございました。もうブルーレイも発売されてますので、興味のある方は是非観てみてください。

トークイベントの詳細は、「ナカメキノ」facebookページに書き起こしダイジェスト版がレポートされているのでそちらをご覧いただければと思います。こちらでは、その時、現場で改めて思った事をつづります。今回のゲストは、『横道世之介』の監督、沖田修一さんと、世之介役の高良健吾くんだったんだけど、ふたりとも良い感じに力が抜けてて、ああ、こういう人たちだから『横道世之介』にきちんと世之介らしい命が吹き込めたんだなあと思わせるような雰囲気がありました。個人的に、ふたりとも以前に別件でお会いしていたので人となりは十分わかっていたんだけど、その時よりもより自然体になっているような、そんな感じがしました。特に高良くんは、数年前にとある映画のインタビューをしたんだけど、その時よりも素と言うか、余裕みたいなものを感じました。

個人的に特に印象的だったのは、今回のトークイベントでひょんなことから少しだけ言及したデジタルとフィルムの話。『横道世之介』は35ｍｍフィルム撮影だったんですが、今、フィルムで撮るのはもうかなり厳しい環境なのです。このあたりは細かく説明するといくら時間があっても足りないから割愛しますが、撮影から映写まで、もうフィルム（映写はプリント）ではなく、ほとんどデジタル化している状況です。それを踏まえて、フィルムに対する愛着を持つのが多くの映画人のスタンスなのかもしれませんが、高良くんが言っていた話がとても印象的でした。それは「デジタルにはデジタルの良さがあり、それを肯定していきたい」ということ。これはとても大切なスタンスなんですよ。映画人はとかくノスタルジーに浸る傾向があり、それはダメなことでは決してないのですが、肯定すべきは肯定していかないと、時代の変容についていくことができないのです。そういう観点から映画関係者であればある程その可能性について前向きに取り組んでいった方が良いし、しょうがなくではなく、楽しんでいきたいと思えればより素晴らしいなと思っています。高良君はフィルムでの撮影に対しても、もちろんその緊張感等も含めてとても好意的に捉えていますが、一方でデジタルに対してもとても前向きに関心があるように感じました。こういう意識の人たちが主流になっていくことで、映画はもうひと皮むけて、次の領域に行くのだろうなあなんてことを、トークイベントの間にぼんやりと考えていました。ちょっとだけ考え事してました（笑）

そんな風に、ちょっと映画の在り方なんかにも思いを馳せつつも、でも単純にずば抜けて楽しいイベントをこれからも参加されるみなさんと一緒に作り上げていきたいなと思っていますので、今後とも「ナカメキノ」をどうぞよろしくお願いします。