第7回
変態試写会
2014.9.2 15時16分
『トム・アット・ザ・ファーム』
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナル、リズ・ロワ他
試写会開催日:2014年9月4日(木)20時45分開場、21時開映
作品公開日:2014年10月25日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクにて公開
(C)2013 - 8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinéma
STORY
恋人のギョームを亡くし悲しみの中にいるトムは、葬儀に出席するために彼の故郷へ向かうが・・・。
『トム・アット・ザ・ファーム』
第7回
変態試写会
天才のひとこと
“『トム・アット・ザ・ファーム』” への20件のコメント
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『パスト ライブス/再会』
2024.2.5 16時13分
試写会開催日:2024年2月27日
作品公開日:2024年4月5日(金)
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お問い合わせ/映画の天才委員会(中井圭・石田文子・田尻博美)
冒頭、ルグランの“風のささやき”が流れた瞬間から、
思いっきり鷲掴みにされました。心をというか、体ごと。
そこから102分、味わったことのない種の緊迫感。
僻地とか閉鎖環境が与える独特な不安感にずーっと胸をざわつかせながら、
不安定な人間関係を、どうなる、どうなる、最後まで食い入って観てしまった。
登場人物やシーンが完璧に表現された音楽は見事だったし、
美しい映像と緊迫感のバランスが何より素晴らしかった。
うんそれだ、美しい緊迫感◎
正直な印象は、表現するのが難しい作品。
でも、印象とは裏腹に、人にはお勧めしたい作品でもある。
見てもらってその人なりの解釈を聞きたい。そういう思いが残る作品です。
解釈は人それぞれだと思いますが、決して見て後悔する事は無いとも思います。
私は好きだな、この作品!
わかりやすい結末ではないし、なんだか良いのか悪いのか。。。夢を見ているかの様な不思議な世界観にただただ魅了されて引き込まれて行く。
終わった後に自分が描いているストーリーではない、予想不可能な後味が残るものの、それで良いんだろうと思ったり、これじゃ納得がいかないと思ったり。
それも全て作り手の想定通りなのかなと思わされる様なそんな懐の広い作品!
なんだろう、、、このずっと考えちゃう感じは!!!
とにかく一度見てもらって、どう思った??って友達と話したくなる様な映画。
美しい物を描いている作品ではないのに、自分の中に残る恍惚感。。。
恐るべしグザヴィエ・ドラン。私ははっきり言って、こういう感覚は大好きです。
ありふれた田舎町を一台の車が走っている俯瞰で撮られたグラフィカルな映像、寂れた農場、牛舎、
干草の積み上がった風景にさりげなく差し込む光 、繊細さ、緊迫感、限られた登場人物の持つバック
グランドやその田舎町が持つ閉鎖感などが独特な臨場感で映像化されている。
監督が主演、こだわりの世界観いっぱいの作品でした。
現代版ヒッチコックのようなスリラー。ぎりぎりだけど、不思議に殺しは一度もない。延々と心理的にいやーな感じは、デヴィッド・リンチやラース・フォン・トリアーのようでもあり。
「ファーゴ」や「シャイニング」は異常な精神を雪のせいにできたが、今回は凡庸な日常に潜む人間の歪みの組合せによる逸脱という感じでたちが悪い。リアルである。
この映画の主人公は監督でもあるグザヴィエ・ドラン(25歳!)ではなく、死んでしまった男の影である。死ぬことにより嘘や裏の姿を明かし、周りの人々の中に黒く浸食していく行為を、一度も登場することなく果たしていく。不在の存在感にゾクゾクする。
音楽の使い方が素晴らしい。画が弱いところに音楽が付く、という定説を見事に外れ、前半など特に映像とガブリエル・ヤレドの力強い弦楽の寒け立つ相乗効果が体験できる。ラストのルーファス・ウェインライト(あらゆる意味ではまっていた。ゲイ、アメリカへのカウンター..)などのポップスは、ガヤと一緒に使われる。観客を休ませる緩急が狙いかもしれない。
末恐ろしい若い巨匠。
映画らしい映画。光と影、音楽と静寂、足音と風の音、暴力と愛、疾走と停滞、クローズアップと美しい構図、メッセージと意思、映画らしさがいっぱいつまっています。
そしてなにより、ヒリヒリとしたむき出しの魂、これこそ僕が映画を見たくなる理由だった気がしました。ラストの10分間の大どんでん返しにびっくり。青さや若さが眩しい映画です。さいこー!
なんか、「黒板に爪」とか、「剥がれかけのかさぶた」とか、そんな気持ちになった。
神経を逆撫でされる感覚。
正しくは、明らかに人が神経を逆撫でされている瞬間を見せつけられる感覚、というか。。
でもそれって、映画としての力になって観る側に刺さるんですね。
しかもそのサカナデ具合が、映像・音・役者の演技とともに緻密に計算されている。
完全に調和の取れた、不協和。
「ドランは才能に溢れている」ってことだけで片付けるのはなんか悔しいけど、
でもこんなの見せられたら、やっぱりそれは間違いないと思える。
不思議な魅力ですね。エンド曲、超カッコイイし。。
中井圭さんにも感謝です。
最高に感想の難しい映画です、もちろんかなり良い意味で。
いろんな解釈がある映画で、こういう人に「考えさせる」余韻を残してくれる映画が大好きです。
この映画の変態のあと、
超売れっ子映像監督の月田さんと尊敬する大先輩のアートディレクターの本多さんと
飲みに行って感想を言い合っておりました。
私自身、小さい農場の世界の話なんだと思っていました。
しかし、やっぱり人生経験豊富な先輩方のほうが、この映画のメッセージを受け取っていて。
これは、もっと大きいくくりの話で、大切なメッセージがあったんだと気づかされました。
ですので、人と感想を言い合うことによって、さらに発見がある作品だとおもいます。
そのあと、パンフレットを買って読むとさらに面白くなるとおもいます。
今日ふと思いました、トムは自分自身なのかもしれないな、と。
片田舎の閉塞感、若者の焦燥、
抑圧された暴力、いびつな愛情。
物語のヒリヒリした空気感に
感情がぐるんぐるん振り回されました。
久しぶりに映画を観て眠れなくなり、
楽しいだけが映画じゃないことを堪能。
いい映画は音楽もいいですね。
サントラが欲しくなりました。
なんというか、「共感」の少ない物語なのです。
どういうことかというと、多くの物語は登場人物に対して多かれ少なかれ共感できる部分ってあると思います。
たとえ犯罪者であっても、それに至った動機があったりしますから。
しかしこの話はディテールの説明を充分に行わないことで共感できる部分を意図的に欠き、
視聴者と登場人物の間の信頼関係に乖離を生じさせることで、観る者の不安感や恐怖感を蓄積させていきます。
人は、共感できないことがあると不安になるんですね笑
そういう意味で心理的ストレスの強い映画です。
この映画が”映画の天才”ではなく”映画の変態”としてチョイスされた要因はそこにあるのかもしれないと思いました。
なにしろ共感が少ないため「なんじゃこの話w」と途中何度か思ったりもしましたが、ストックホルム症候群という病気があるんですね。
これを踏まえ、ラストシーンとエンド曲を聴いてはじめて、この話の繋がりや意義が見え隠れしたような気がします。
これは全ての視聴者に対する、壮大な皮肉の物語なのか?
「あなたたち、本当にこの人のこと笑えますか? 自分は大丈夫だって言い切れますか・・・?」
そんなメッセージが込められていたのでは、と後になって思い返したりします。
世の中が正義と悪にきれいにわけることができるなら苦労しませんが、実際はもっと複雑で入り組んでいるもの。そういうことに気づかせてくれる映画を名作と呼ぶのかもしれません。
アメリカ人はこの映画をみてどう思うか?
深いですよ、この作品。
正直言って、好きです。
いちいち絵が素敵で、センスを感じる。
画面が少し小さく見えたり、怖さを感じない絵の時も音楽が流れるだけで
奇妙なシーンとなった感じがした。
見る側が想像させられる、すごく。
意味のあるようで、ないような、でも何かをうったえているような。
そんな感覚で物語は進んでいく。
愛とは時に残酷に人を追い込む。
ハラハラ、ドキドキが止まらない愛のサイコ・サスペンス。
25歳にして、俳優も経て、監督となり、自ら主演をこなすドランさんは
才能にあふれていると思った。
ストックホルム症候群にかかってる時の表情が忘れられない。
アイディアがふってくるのだろうな、色んなものを見ていると。
ものつくりは面白い。
今回も面白い映画をありがとうございました。
予告編を観て、なんだか怖そうだ、大丈夫かなとはらはらしていたのですが(ホラー映画は苦手です)、予想の斜め上を行く違った怖さのある作品でした。
深すぎる愛の恐ろしさ、嘘と真実の間での葛藤、辛い現実から逃げるように引きずりこまれてゆく泥沼な日々。それらが美しすぎる映像と、的確な音楽によって心にダイレクトに襲いかかってきます。
序盤に感じていた人間への恐怖心が不思議なことにだんだんと薄れてゆき、終盤はほぼ放心状態で観入っていました。
終わってみると、あのシーンはああいう未来の暗示だったのかしら、彼の本心はどこにあったのだろうと疑問だらけ。こんなに後引く作品に出会ったのは久しぶりです。彼に幸せな未来が訪れますようにと、本気で願ってしまいます。
二人のダンスシーンは物悲しくも美しく、官能的で、とても印象に残っています。
まだしばらく、あの世界を引きずってしまいそうです。
ドキドキと掴みにされました。
不思議な魅力です。
怖かった!
それでもストーリーを追わずにはいられない。
まさに映画の変態にふさわしい作品だ。っと思ってしまいました。
初めから漂う不思議なムードと
徐々に高まりつつあるサイコ&サスペンス。
この緊張感がたまらなくてずっと手を握りしめていました。
その理由がわかるまでの全編にわたる閉塞感、息苦しさ、そしてトムの魅力。
彼が傷つけば傷つくほど、残酷さが魅力的でした。
これは大好きな作品。
彼の他の作品もじっくり見たい!
25歳。。。ほんとに天才です。
これ、舞台劇にすれば喜劇になるなあ、なんて思いながら観てた。ワンシチュエーションの四人芝居ね。
ストーリーは怖かったけど、客席からときに笑い声が起きてたし。
嘘は物語にとっての大切なスパイスだけれど、この作品の塩梅は絶妙だった。
久しぶりに戯曲が書きたくなった!もちろん、四人芝居で。
怖かったー
とにかくずっと怖かった。
ずっと息をのんでる感じ。
色々想像しすぎて疑問だらけ。
聞きたい事が沢山。
話したい事山ほどです。
監督に会ってみたい。
すごくそう思った映画でした。
変態映画、バンザイ。
有難うございました!
晴れでもなく、雨でもなく
曖昧な空のイメージ。
小さなコミュニティを取り巻く
抗いや享受といった人間ドラマ
一つ一つの場面に何か隠された意味があるのか
ただただの場面の連続なのか
不思議になるほどに引き込んでくる作品でした。
主人公の彼を突き動かすものが愛なのかまたは別の何かなのかは分からないけど、とても人間らしいと思える彼のひとつひとつの表情にこの映画の真髄を見た気がしました。
衝撃的 映画でした!
最後まで ドキドキがとまらなかったです。
試写のスクリーンで あんなに怖かったら
映画館で見たら どうなっちゃうんだろ?
一瞬たりとも 見逃せないし いろんなシーン
が いつまでも 頭に浮かびます‼
長雨が続いた鬱蒼とした部屋の中、
生乾きの洗濯物が干しっぱなしでいるような、
何かぬめっとした空間にさらされた102分間でした。
ラストは、、、なるほど。
「僕たちは、
愛し方を学ぶ前に、
嘘のつき方を覚えた。」
このメッセージが全てです。
「映画の変態」で変態らしいのを観れた気がする。
とにかくもう一回みたい映画。
前作「わたしはロランス」で一躍、時の人になった感のあるグサヴィエ・ドラン監督の最新作。
俳優として子役時代から活躍する超絶イケメンで、映画を撮れば片っ端から賞を穫り、おまけにまだ25歳という、身近にいたら絶対友達になれないタイプの人(笑)ですが、映画以外も含めいま一番注目するべきクリエーターであることは間違いないです。
あるカップルの10年を追った壮大なラブストーリーだった「ロランス」とは対照的に、今回は描かれるのは田舎の牧場で起きた、ほんの数日間の出来事。サスペンスのような、ジャンル映画的要素も強く、あらゆる意味でロランスとは真逆の作品です。でも、母親との愛憎や同性愛など、いつものドランらしさも前回。作風の振れ幅と作家性の強さ、両方に驚かされます。いろいろな解釈の仕方がある物語だと思うけど、僕はアメリカ的なマチズモやホモフォビアを批判的に描いた映画(ラストシーンでのフランシスの服装やED曲の歌詞に注目)として、ものすごくおもしろく観賞しました。
マッチョな男性像への批判的視点は、同じカナダ出身の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの「プリズナーズ」(これも傑作だった)にも通じるものを感じます。ストレートなラブストーリーだったロランスと違って、ちょっと人は選ぶかもしれないけど、やはり傑作だと思います。必見!