STORY
ムエタイ、ラグビー、体操、テコンドー、そしてセパタクロー。タイ王国を代表するナショナル・チャンピオン達。彼等が滞在した村を突然ゲリラが襲った。危機に直面した村を救うため、卓越したアスリート達が自らの競技で培った肉体と技で戦いを挑む──危険、ここに極まれり!『七人のマッハ!!!!!!!』
『七人のマッハ!!!!!!!』
村を救え!核を止めろ! アクション映画の危険度は、遂に限界を超えた!
REVIEW
確かに、ある意味、バカバカしい。だが、僕を包む高揚感は一体何なのか。それはきっと、この映画が『七人のマッハ!!!!!!!』ではなく『Born To Fight』だからだろう。『Born to fight』とは、『七人のマッハ!!!!!!!』の原題である。つまり全く同じ映画を指しているのだが、そこに込められた意味はまるで違う。『七人のマッハ!!!!!!!』とは、日本で公開される際に付けられた宣伝的な意味合いが強い名前だ。そして意図通り、間違いなく宣伝的に効果があると思う。だが、映画『Born To Fight』に込められた想いを知ってしまった以上、この作品は僕にとっては何が何でも『Born To Fight』なのだ。実は、『七人のマッハ!!!!!!!』こと『Born To Fight』は、今から20年近く前に、一度、製作された作品だ。その当時、主演と監督を務めたのが、今、我々の目の前にある『七人のマッハ!!!!!!!』の監督、パンナー・リットグライ。ジャッキー・チェンに憧れ、彼を超えるべくトレーニングを積み重ね、自らの私財と父親の畑を売って調達した資金で作った低予算映画こそ、伝説的作品『Born To Fight』だった。追求したのは徹底的なアクション濃度と本物感。ごまかさないアクションこそ人間の心を揺さぶるものだと確信して生み出された当時の『Born To Fight』は、田舎巡業で大ヒットを記録したばかりか、2人の重要人物に多大な影響を与える結果となる。つまり、トニー・ジャー少年がアクションスターを目指すきっかけを与え、若きプラッチャヤー・ピンゲーオが本物のアクション映画を志向することになるのだ。つまり、この作品がなければ、『マッハ!』は誕生していないだろう。全ての点を線で結ぶきっかけとなったのが、当時の『Born To Fight』だ。あれから20年近くが経過し、再びパンナーが伝説をセルフリメイクすることになる。彼自らが鍛え上げた愛弟子を従え、更なる危険度と更なるアクション濃度を追求して。ストーリーはチープで、ものすごく腹を抱えて笑うだろうし、目を覆いたくなるほどショックなシーンもあるけれど、パンナーの想いの濃度が『マッハ!』をも上回る信じられない危険なアクションシーンを生み、僕の中の少年の心と目頭を熱くする。
中井 圭
10/27 03:08 コメント (307) | トラックバック (521) |