超絶ヴァイオレンスエンターテイメント『シン・シティ』

『シン・シティ』
フランク・ミラー×ロバート・ロドリゲス×クエンティン・タランティーノ!
常人の神経を焼き尽くす、超絶ヴァイオレンスムービー!
監督:フランク・ミラー、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ(ゲスト)
出演:ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ジェシカ・アルバ、ベニチオ・デル・トロ、イライジャ・ウッド、ブリタニー・マーフィ、マイケル・マドセン、デヴォン青木ほか
今秋、松竹・東急系にてロードショー!
http://www.sincity.jp/
STORY
艶やかに輝く高層ビルの光。朽ち果てた裏通りの闇。 犯罪以外は何もない、どこにでもある巨大な街。 いつしかそこは“罪の街”シン・シティと呼ばれた。 裏切りと憎しみが渦巻くこの世界を己のルールに従って生きる3人の男は、 街を支配する権力に脅かされる女達を守るため、命を賭けた闘いに挑む──
REVIEW
飛び抜けた暴力性は観るものの感覚を麻痺させる。試写室から出たとき、軽い目眩を感じた。正直、観るものを選ぶだろう。気の弱い人にはどうしても薦められない。徹底したヴァイオレンスと根底に確実に流れるアメコミ精神の骨太さを併せ持つ本作が、果たして日本でヒットするのだろうか。お涙頂戴、カタチだけの純愛モノにしか反応しなくなった日本人のエンターテイメント理解に対する挑戦とも言うべき常軌を逸した作風は、しかし、誰かに見せなければいけないと思わせる何かがある。ご存知のとおり、ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェンをはじめ、ハリウッドの超一流キャストがこの作品にこぞって出演している。おそらくギャラの問題ではないだろう。『ロード・オブ・ザ・リング』で指輪を捨てる旅に出たイライジャ・ウッドは本作で、人間業とは思えない素早さで襲撃し、人肉を喰らう変態を演じ、世界的に活躍する一流モデル、デヴォン青木は、日本刀を振るい男共を抹殺する殺し屋に扮する。精神的に雄しか受け入れられない表現と物語、徹底的に色付けされた魅力的なキャラクター、そして、驚異としか言いようのない“濃い”スタッフ。これらが奇跡的な「必要十分条件」を生み出し、本作が誕生した。繰り返すが、誰にでも受け入れられる作品ではあり得ない。だが、この作品を受けとめる日本であれば、日本映画界は、きっと進化する。そして、今の日本に、その土壌がないわけではない。こいつは、日本人の好きな“純愛”の物語でもあるのだから。

中井 圭