菊池凛子を思い出す。

菊池凛子が話題になっている。
 
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の
『バベル』に出演し、同作がカンヌを皮切りに極めて高い評価を受け、
結果、彼女自身もゴールデングローブ賞にノミネートされたためだ。
 
これから熾烈を極めるアカデミー賞レースも控え、
日本人俳優として、彼女が今、最も旬な存在なのは言うまでもない。
 
そんな菊池凛子を少し思い出してみる。
 
思い出すなんて偉そうなことを言っているのは、
去年、カンヌ映画祭に参加した際、偶発的に彼女に
僕がインタビューすることになったからである。
 
彼女に対して僕が感じた最も強い印象は、貪欲なスタンス。
役に対して貪欲で、何でもやってやるという根性を感じた。
 
彼女は『バベル』で、ろうあの女子高生役を演じているのだけど、
徹底的に研究を重ね、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督が
実際のろうあの女子高生を起用しようとしている最中も、あきらめずに
トライし続けた、貪欲な姿勢は凄まじい。
 
『バベル』では相当な体当たり演技を披露している。
僕はカンヌで本作を観たため、モザイク処理なしのノーカット版だったが、
よくここまでやったなと正直ビックリするくらいの大胆さだった。
無名に近い存在ながらも、その貪欲な姿勢と根性を見せつけており、
助演女優賞にノミネートされるのもわかる気がした。
少なくとも、共演者である役所浩司は、完全に食われている。
 
そんな彼女も、インタビューが進み、リラックスしてくると、素朴な一面を見せてくれた。
強い芯の中に、アレハンドロと仕事ができて、とても幸せだと目を輝かせた一面に
彼女の中の純粋性と良い意味での素人臭さを感じた。
きっと、まだまだ成長する、雛鳥のような存在なんだろう。
これから先が楽しみだ。
 
なんとなく興味を持った人は、
4月末に公開になる『バベル』を是非観てください。