2005年映画ベストテン。

もうすぐ終わる2005年の総括として、僕が観た中で、
特に印象的だった2005年公開の映画作品10本を発表する。
言わば、中井の独断と偏見による、2005年映画ランキング。
個人的にはこれだけ観とけばOKでしょう。
 
10位 『ハッカビーズ』
    映画に理屈だけを求める人には理解不能な世界だが、
    映画に感覚だけを求める人にも理解不能な世界だろう。
    この不思議映画で、ジュード・ロウは最高の演技をみせる。
 
9位  『リンダリンダリンダ』
    煽りに煽った熱血系青春映画ではなく、
    こんなこともあるだろうなと思わせる自然な高校生の姿が、
    その時代を通過した僕にも響く青春映画。
    ペ・ドゥナが良いんです。
 
8位 『キング・コング』
    太ったオタク、ピーター・ジャクソン監督が激ヤセするほど
    チカラを込めてリメイクした伝説の娯楽大作。
    CGキャラのコングに愛を纏わせた彼の想いを受け取るべし。
    3時間8分はちょっと長いけど。
   
7位 『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』
    実際、それほど待ってたわけでもないが、
    直前になってえらい盛り上がってしまった映画史に残る超話題作。
    もはやこの作品、映画というよりも、ひとつの祭。
 
6位 『バットマン・ビギンズ』
    クリストファー・ノーランとクリスチャン・ベール。
    この組み合わせに心躍るのは僕だけじゃないだろう。
    『バットマン』なんてイロモノも、2人のストイック野郎の
    手にかかるとここまで珠玉のエンターテイメントに仕上がる。
 
5位 『パッチギ!』
    不覚にも泣いちまっただろ!オダギリジョー。
    欄干にぶつけられた少年の痛みがフォーククルセダーズの名曲に
    乗って僕の心を突き刺した。間違いなく井筒監督の最高傑作。
    塩谷くん、また卓球しよう。
 
4位 『7人のマッハ!!!!!!!』
    今年うれしかった事といえば、パンナー・リットグライの弟子になれたこと。
    そんな都合で僕の兄弟子と相成ったダン・チューポンが主演の本作は、
    映画史上最高危険なノースタントアクションムービー。死ぬだろ普通!
 
3位 『シン・シティ』
    監督のロバート・ロドリゲスは、今後全てのメジャースタジオと
    仕事する権利を放棄し、本作を撮ることを選んだ。
    本作を単なるヴァイオレンスムービーと嫌悪する人々に伝えたい。
    この映画は『私の頭の中の消しゴム』を超える純愛映画だ。
 
2位 『運命じゃない人』
    映画の仕事をしてから“発掘”というキーワードを使うならば、
    僕の中の“発掘”は、本作の監督、内田けんじに他ならない。
    劇場公開された初長編監督作は、彼の才能を全ての人に認めさせ、
    邦画の言い訳を叩き潰した恐るべきエンターテイメント作。
 
1位 『エターナル・サンシャイン』
    失恋を経験したことのあるすべての人へ届けたい。
    2人の変態、チャーリー・カウフマンとミシェル・ゴンドリーが
    遂に噛み合った、奇跡的なエンターテイメント感動作。
    この作品がわからない人とは、友達になれそうもありません。
    彼らはひとつ、映画のあるべき姿を世界に提示し、僕は単に号泣した。
 
率直に言うと、2005年の映画は小粒だった。
 
超大作は何本もあったが、昨年と比較すると面白い映画が全体的に少ない印象。
それでも、1位から5位までは例年と比較しても文句なしに素晴らしい。
監督軸で見るならば、内田けんじ監督の発見は大きい。
彼の登場は、日本映画に革命をもたらす可能性すら感じる。
中島哲也監督と内田けんじ監督は、計り知れない。
そして、『エターナル・サンシャイン』は完璧。映画として完璧だ。
 
なお、ベストテンの次点としてあげるのは、
『アビエイター』、『サマータイムマシン・ブルース』、『バタフライ・エフェクト』あたりだろうか。
このあたりは好みはあれども優れた作品であることは間違いない。
 
世間一般で評価の高い『バタフライ・エフェクト』と『サマータイムマシン・ブルース』が
中井的ベストテンに入れなかったのは、ギミック要素をもった作品として
『運命じゃない人』とかぶっているのに、味わいの点で同作を超えられなかったからだろうか。
単純に完成度を問題にしているわけではない。
 
なお、この「映画の天才」では、4位の『七人のマッハ!!!!!!!』、
3位の『シン・シティ』、2位の『運命じゃない人』の天才試写を実施した。
 
映画配給のみなさんと映画の天才各位の協力を得て、これら秀作の
試写が実施できたことに感謝。来年もどんどん面白い映画を広げましょう。
 
あと数時間後の2006年には、
『トム・ヤム・クン!』、『嫌われ松子の一生』、
『RIZE』など見所が多い作品が出てくる。
 
特に、『トム・ヤム・クン!』は既に来年のトップ3入りが確定している。
あのトニー・ジャー主演といえば言葉は要らないだろう。
期待を全く裏切らない実に素晴らしいアクション映画なので、
是非、来年観て欲しい。絶対に。
 
それでは、これまで以上に人生を楽しくしてくれる映画に
出会えることを期待して、2006年を迎えましょう。
 
執筆:中井 圭